J.YOSHIDA CLINIC

No.15FGFの効果、安全性について
そもそも成長因子とは?

こんにちは。
J.YOSHIDA CLINICの吉田です。

たびたびこのブログでも取り上げていますが、美容医療でよく使われているFGF(商品名フィブラスト)という薬剤があります。これはbFGF(basic FGF=塩基性線維芽細胞増殖因子)という成長因子の一種を人工的に合成したものですが、この成長因子製剤の美容転用については、まだまだお伝えしたいことがたくさんあるので、今回もいくつかの記事に分けてお話します。

さて、本来の成長因子(増殖因子)というものは、細胞が合成して分泌する比較的小さなタンパク質の一種です。「成長(増殖)」という名がついていますが、必ずしも細胞が増えるわけではありません。成長因子の種類によっては増殖をストップさせて環境整備をさせるもの、より限定的な機能を持つように専門化(分化といいます)させるものなどがあります。

細胞から分泌された成長因子は、近くにいる他の細胞達に何らかのアクションを起こさせます。どのようなアクションを起こすかは、成長因子の種類やそれを受け取る細胞の種類、そしてその細胞が置かれている状況によって異なってきます。成長因子を受け取ってアクションを起こした細胞もまた、成長因子を分泌するなどして周囲の細胞に影響を及ぼしていきます。

このように成長因子の役割とは細胞同士が情報交換するための手段、つまり手紙やメールのようなものです。メールの内容は「分裂してください」「成長因子○○を分泌してください」「○○するのをやめてください」といった、刻一刻と変化する周囲の状況に対して、自分達がとるべき行動を指示するものだとお考えください。場合によっては宛先を自分自身にして自らの行動を戒めたり強めたりする場合もあります。

そしてもう一つ大事なことがあります。それは、これらのメールは何の理由もなく細胞が勝手に出すことはないということです。

細胞は自分達が住んでいる肌という環境を守り維持するために行動しています。その環境が壊されたり脅かされた場合に、現場の情報収集と状況判断をしながら、お互いにメールを出し合って解決にあたっているのです。この情報収集と状況判断をしているからこそ、細胞は絶妙なタイミングで過不足のない適切な処理が行えるわけです。

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