J.YOSHIDA CLINIC

No.24肌再生医療で定着した
細胞のその後の運命は?

J.YOSHIDA CLINICの吉田です。

今回は、当院に寄せられるいろいろなお問い合わせの中から、皆さんにお伝えすると面白いかな、と思われるものを一つご紹介いたします。

お問い合わせ内容:
基本治療を終えた後、1〜2年で維持治療をしなければならないとかいてありましたが基本治療で注入した細胞?はどうなってしまうのでしょうか?

以下、私からの回答です。

お問い合わせありがとうございます。
院長の吉田です。

基礎治療で定着した細胞のその後についてですが、個々の細胞に関する正確な追跡調査は不可能なため、細胞が有している様々な性質からの推測となります。

通常、細胞(真皮線維芽細胞)は真皮のコラーゲンにくっついた状態で生活しています。くっついているコラーゲンの状態や生活している環境によって、以下のような状況になっていると考えられます。

  • 1)古い壊れたコラーゲンを分解し、新たにコラーゲンを作るといった積極的な働きを持つもの、
  • 2)古い壊れたコラーゲンに単にくっついているだけで、ほとんど働かずにじっとしているもの、
    また、活性酸素や紫外線によるダメージを受けやすい場所にいる細胞は、
  • 3)通常よりも早く老化細胞となってしまい、やがて免疫細胞によって食べられてしまうもの、
  • 4)ダメージが大きくその場で死滅してしまうもの、
  • などがあります。

このうち肌の再生・維持に寄与しているのは1)の細胞です。
衰えが進んでいる肌では、この1)の細胞が圧倒的に不足しています。

  • 2)の細胞は新しい壊れていないコラーゲンにくっつくことができれば1)と同じように積極的に働く能力を有しています。
  • 1)の細胞が定職に就いている者達とすれば、2)の細胞は失業中の身です。
    通常、衰えた肌ではこの2)の細胞が多数を占めています。
  • 生活習慣のせいで活性酸素が多い人や紫外線対策を怠ってる人では、3)や4)の細胞も多くなるため、老化の度合いが大きく、衰えスピードも速くなります。
  • 3)の老化細胞はリタイアした者とお考えください。4)は不慮の事故死です。

こうやって考えれば人間界と似たような感じではないでしょうか。
治療によってコラーゲンに接着した細胞も、上記と同じ運命が待ち受けていると思われます。
つまり、何割かは長期間生き続け、何割かは早い時期に死滅するということです。

  • そもそも未治療の肌では3)4)のせいで年々細胞の数は減少しています。
  • そこに2年ごとに細胞移植を行ったとしても、トータルでは少し増えるくらいか、さほど変わらない程度なのだろうと思います。
  • 基礎治療でしっかりと基礎固めをしておけば、維持は非常に楽にできると言えます。
  • 私自身の治療経験から言うと、再生した肌が治療前の状態に戻るには、基礎治療後4〜5年以上はかかるようです。
  • 基礎治療の改善変化のピークは基礎治療完了後2年目くらいの時期だと思われます。(2年ほどかけて肌が改善していきます。)
  • つまり、2年で維持治療するというのは基礎治療による改善変化がピークの時点で細胞移植を行うということです。
  • これによって、基礎治療ほどではないにせよ、維持治療でもある程度の改善効果が期待できるようになります。
  • もちろん、何度維持治療を繰り返しても肌は右肩上がり、というわけではなく、どこかで改善変化は頭打ちとなります。

ちょっとややこしい説明になりましたが、もともと肌の中にいた細胞も、移植された細胞も、1)から4)が起きているとお考えいただければよろしいかと思います。

ご質問や不明な点がありましたら、遠慮なくお尋ねください。

吉田 純

…といった感じですが、これをお読みいただいている皆さんに向けて一点補足しておきます。移植した細胞が定着するのは推測ではなく事実です。それを証明している論文もあります。

今回の内容は、いくつかの断片的な事実を基にした、定着した細胞のその後の運命について推測したものだとお考えいただければと思います。

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