こんにちは。
J.YOSHIDA CLINICの吉田です。
今回は開大した毛穴の治療についてです。
毛穴の開大とは毛穴の入り口部分が広がった状態のことです。開大毛穴の治療は毛穴入り口の「掃除」と「破壊」の二つを基本として行われています。
毛穴の掃除とは、毛穴に溜まっているゴミを取り除く作業です。ゴミというのは、古い角質、皮脂、老廃物に汚れがついたり酸化したもののことです。毛穴を引き締めようとしても、毛穴内にゴミが溜まってると縮まるものも縮まらない、だから取り除く必要があるという理屈です。掃除する方法として従来からあるのは、パックやケミカルピーリングなどです。
毛穴の破壊には、熱を加えて毛穴周囲の組織を変性させるものと、毛穴の目立つあたりをとにかく無差別に「爆撃」して穴をあけまくるものがあります。前者はカーボンピーリング、後者はフラクセルという治療です。どちらもレーザーを使用します。破壊が何故毛穴の収縮につながるのかは後ほど説明します。
カーボンピーリングは掃除と破壊を同時に行える方法です。黒い色素を肌に塗って、黒い色に反応するレーザーをあてます。毛穴に入り込んだ色素がレーザーのエネルギーで高熱を発し、燃えてはじけることを利用しています。「ゴミを吹き飛ばす」という表現をしているサイトもありますが、爆薬を仕掛けてゴミを瞬時に燃やして消し去るという感じでしょうか。その際に毛穴内部の壁を構成している細胞だとかコラーゲンだとかも焼けてしまいます。コラーゲンが焼けて縮むことで、施術直後のちょっとした引き締め効果が得られます。焼けて死んだ壁細胞は周囲の生き残った細胞が分裂して穴埋めし、焼けて変性したコラーゲンは一旦分解され、新たなコラーゲンで修復されることになります。
さて、ここからが大事です。
破壊された組織が修復(欠損した部分をコラーゲンで埋めること)される際に作られるコラーゲンは正常な真皮のコラーゲンとは構造や性質が異なります。また、欠損部を埋めたコラーゲンはその後の細胞の働きによって全体的に圧縮されます。火傷や怪我などでできた傷跡が徐々に縮んで「引きつれ」が生じてくるのはこのためです。身体はこのようなしくみを持つことで、傷ができるだけ小さくなるようにしているのです。
①真皮コラーゲンの破壊(ちょっとした引き締め効果)→②穴埋めコラーゲンによる修復→③穴埋めコラーゲンの収縮(比較的長期に渡る引き締め効果)
毛穴も含めて引き締め効果をうたった従来の美容医療は、結局このしくみを利用しているに過ぎません。ラジオ波によるたるみの引き締め効果も同じです(以前の記事では①の説明しかしていませんでしたが…)。どちらも一旦破壊して、細胞による修復活動を引き起こすことで長期的な効果を引き出そうとしているわけです。ただ、一旦収縮したコラーゲンもいずれは緩んできます。半年から一年くらいでしょうか。それが効果が失われる時期になります。
毛穴を引き締めるという意味では、どこがどう縮むかよくわからないフラクセルよりは毛穴をピンポイントで縮めるカーボンピーリングのほうが理にかなっている気がしますが、例え効果があろうとも破壊することが肌や細胞に良いとはどうしても思えません。少なくとも頻繁に繰り返すべきではありませんし、壊さなくてもコラーゲンができるのであればそれに越したことはないと私は考えています。
当院の肌再生医療の場合、このような組織破壊は行いませんが、毛穴の引き締め効果はよく見られる変化の一つです。以前働いていた職場で看護師さんの頬で実験をしたのですが、片側の頬だけに細胞注入をしたところ、注入した側の頬は見事に毛穴が小さくなっていて、よく患者さんに見せては説明に使っていました。細胞やコラーゲンにダメージを与えなくても毛穴を小さくすることは可能なのです。
ちなみにその看護師さんは「絶対いつかもう片方にも注入してくださいよ!」と言っていたのですが(まあ、当然の要求ですよね)、その前に私がそこを退職してしまってその約束は果たせないままになっていました。3年経って私が開業して、彼女も結婚が決まったのでその前に!ということで、実に4年振りにようやく責任を果たすことができました。来月の検診で効果チェック予定です。いやー本当に良かった!(笑)