「あなたが肌の治療を任せたいのは職人ですか?それとも商人ですか?」
こんにちは。
J.YOSHIDA CLINICの吉田です。
以前RDクリニックにいたときに、私はよく「細胞の注入はそう難しいものではなく、誰がやっても大差はありません。」と言っていました。その後、多くの患者さんからいろいろな情報をいただいて、これがどうやら間違いだったということがわかりました。
「誰がやっても大差ない」というのは、必要な手順をきちんと踏んで、解剖学的な知識に基づいた注入ができるドクターに限っての話です。そんなのはごく当たり前のことだと私は思っていたのですが、当たり前ではないドクターが思いのほか多いようで、かなり雑な注入を行っているようです。もっと酷いのは、この治療を見たこともやったこともないドクターが、いい加減な方法で注入しているところもあるようです。
肌再生医療は、細胞注入だけでなく培養も含めて全ての工程が手作業なので、それを手がける人間の腕次第で細胞の良し悪しも治療のレベルも大きく変わってきます。「どこで細胞培養しても同じ」だとか「注入は誰がやっても同じ」だとか、そういったチェーンのファストフード的な治療では決してありません。我々は細胞治療を提供する職人であり、培養技術や注入技術はより良い結果を導くための職人技だと言えます。(培養がいかに職人技であるかは、当院スタッフブログを見ていただければおわかりいただけるかと思います。)
そもそも細胞注入というのは、細胞を皮膚の中に入れることが目的なのではなく、細胞を元気な状態で生着させる(生きた状態で皮膚に住み着くようにする)ことが目的です。そのために必要なのは細胞を傷めないことと丁寧な仕事をすること、これが移植を成功させるコツです。
まず、培養室から出てきた細胞はすぐに一定の低温環境に移し、移植までの時間もなるべく短時間とすることで細胞へのダメージを抑えます。そして注入(移植)はきちんと真皮内に行うことが必須です。また、雑な注入は多くの内出血を引き起こし、それらは細胞にダメージを与える炎症の原因となるので、内出血させないように針先をコントロールして、出血があればすぐに止血する、といった基本的な手技も大切です。これらに加えて私の場合、「効果を出すためには、こういう『入り方』でなければならない」という基準のようなものがありますので、それを満たすように注入しています。これらのことを全てきちんとやるにはやはり時間がかかります。
さらに、患者数をこなすためにキツキツで予約を取って、いつも時間に追われるようなスケジューリンングも私にとってはNGです。丁寧な治療を行うには時間的余裕のある、落ち着いた環境が必要です。
こういったいくつかの理由から、私のクリニックでは一日のうちに治療可能な人数は、せいぜい3人から4人程度です。
私は、注入環境を整え、自分が納得できる注入を行うかどうかがこの治療における「職人」と「商人」の違いだと思っています。では最初の質問に戻ります。
「あなたが肌の治療を任せたいのは職人ですか?それとも商人ですか?」
私は今までも、そしてこれからも、肌再生医療の職人であることにとことんこだわり続けたいと思います!