こんにちは。
J.YOSHIDA CLINICの吉田です。
先日のBSプレミアムの映像、録画したものを見てみたのですがちょっと少なかったですね。
それでもまあ、こういう治療があるんだという良い宣伝にはなったと思いますので私としては良かったと思うのですが、ただ!!一部に誤解を招く表現があったように思いましたので、勝手ながら私の見解を交えて以下に訂正させていただきます。
10代の細胞を移植すれば肌が10代の時と同じになるわけではありません。確かに10代のときの細胞はその当時の機能を維持していますが、それを現在の肌に移植しても肌全体が10代の機能を持つようになるわけではありません。
私はこの治療を大地への種蒔きだと考えています。蒔いた種からしっかり収穫を得るためには、種、土地、農夫の3要素が重要です。
細胞は種、肌は土地、私(医師)は種を蒔いて育てる農夫です。土地、というのは体の調子や栄養状態と考えていただければ良いと思います。
若いときの肥沃な土地に蒔いた種と、かなり年齢を重ねて痩せてきた土地に蒔いた種とでは、当然得られる収穫量に違いがあるのはおわかりいただけるかと思います。同じ種を蒔いたとしても、蒔いた先の状態によって収穫量は変わります。私が10代の細胞云々がNGと言っているのはまさにこのことです。
私が前職を辞めて自分が良いと考える方法でこの治療を発展させようと思ったのは、種を蒔く土地の状態を改善することが重要だと気付いたためです。
さらに言うと、用意する種にも良し悪しがあることに気付きました。種を用意するのは培養士達です。良い種は腕の良い培養士からしか得られません。私が培養士の能力にこだわるのはこういう理由からです。
また、農夫のノウハウも非常に重要です。ただ単にバラバラと種を撒き散らすだけの種蒔きと、経験や知識を元に、土地の状態に合わせて蒔き方を工夫した丁寧な種蒔きとでは、確実に収穫量に差が生じます。細胞を「注入」しさえすれば良いのではなく、細胞をちゃんと「移植」しなければならないのです。
以上のように、土地の状態の改善、質の良い種の入手、そして丁寧な種蒔きの3拍子が揃って初めて良い実がたくさん得られるようになります。事実、当院では人工成長因子のような薬剤を一切使用せずに十分な効果をあげることができています。私はこれまで複数の施設でこの治療を行ってきましたが、現在の当院の治療はその中でも最も安全で効果的なものになっています。
逆にこの治療を単なる細胞注入(種の質を問わない、単なる種のバラマキ作業)としか捉えていない医師がもたらす効果はたかが知れています。そして効果を出すのに人工成長因子に頼るような本末転倒な方向性も問題だと思います。
話が脱線してしまいましたので、もう一度繰り返します。この治療は10代の細胞を注入しさえすれば10代の肌になるというような単純なモノではありません。この治療は若いときの細胞でなければ意味がない、ある程度年齢が進んだ人は大した効果は出ない(だから成長因子が必要)などと言っているドクターもいるそうですが、私は自信を持って断言します。そんなことはありません。
10代20代の細胞である必要はなく、40代だろうと60代だろうと、体の状態を調整し、質の良い細胞をきちんと移植して、今の年齢における最高の肌を獲得する、そしてそれを維持していく。これが肌再生医療のあるべき姿であり治療のゴールだと思っています。