こんにちは。
J.YOSHIDA CLINICの吉田です。
肌は何故老化するのでしょうか?身体の老化に関してはいくつかの説があり、そのうちの一つが活性酸素説です。
活性酸素というものは体の中で常に発生していて、いろいろな種類の物質(細胞の膜やDNA、コラーゲンなどのタンパク質、etc.)と反応してそれらを破壊してしまいます。体内で発生する活性酸素は加齢とともに増加します。
細胞には活性酸素を防御する仕組みが備わっているので、そう簡単にはやられはしませんが、加齢とともに活性酸素によるダメージが蓄積します。そうして線維芽細胞は次第に衰え、細胞が衰えるとコラーゲンを作れないため肌が衰えてくる、というわけです。
でも肌の老化ってそんなに悠長なものでしょうか?結構「坂道を転がり落ちるように…」という表現があるように、一旦進み始めると徐々に加速するイメージがあります。
実は肌の老化は「細胞が衰えてコラーゲンを作れなくなるから」だけでなく、「元気な細胞がコラーゲンを壊すから、一旦壊し始めると止まらないから」という研究結果があるのです。「止まらない」=「坂道を転がり落ちる」という点で大いに信憑性がありそうです。
ここで線維芽細胞に関する3つの重要な性質をちょっと記憶にとどめておいてください。
1)多くの美容系サイトでは、線維芽細胞は「コラーゲンを作る細胞」というイメージでしか描かれていませんが、それは非常に偏ったイメージです。作るだけでなく「コラーゲンを壊す」こともできます。作って壊して、また作って…そうやって地道に肌のコラーゲンの入れ替え(ターンオーバー)を行っている、というのが正しい姿です。。
2)線維芽細胞は活性酸素が増えると、コラーゲンを壊す物質をたくさん作ります。
3)線維芽細胞にはコラーゲンにくっつけなくなると、細胞の中の活性酸素が増加します。
以上を踏まえて次の流れを見てください。
- 加齢に伴って肌の中の活性酸素増加
- ↓
- 線維芽細胞からコラーゲン分解酵素が放出(※)
- ↓
- コラーゲン破壊によって「細胞×コラーゲン共同体」の解体促進
- ↓
- コラーゲンにくっつけなくなった線維芽細胞内の活性酸素増加
- ↓
- (※)へ続く無限ループ
つまり、加齢に伴う活性酸素の増加が「細胞×コラーゲン共同体」の破壊を招き、それがさらなる活性酸素の増加と「細胞×コラーゲン共同体」の破壊を招くという「永遠の破壊スパイラル」に陥ることで、肌の老化が自動的かつ急速に進行するわけです。
「細胞×コラーゲン共同体」は肌の若さの要です。その解体・減少こそが肌の老化の本質だと考えて良いでしょう。そして、線維芽細胞によるコラーゲンの「破壊スパイラル」を断ち切って、再び「細胞×コラーゲン共同体」を構築することがアンチエイジング、すなわち肌の若さの回復と保持に不可欠だと言えます。
肌再生医療が目指しているのは、まさにこの「細胞×コラーゲン共同体」の再建と増加です。
さらに、多くの美容系サイトで目にする「創傷治癒」では、この共同体の再構築は望めないということも付け加えておきたいと思います。