J.YOSHIDA CLINIC

No.14FGFもPRPも再生医療とは
呼べない?(後編)

こんにちは。
J.YOSHIDA CLINICの吉田です。

FGFやPRPによって肌の中で起きている変化は創傷治癒(そうしょうちゆ)という反応です。創傷治癒とは身体(細胞)が怪我を治す特殊なしくみのことです。そしてFGFもPRPも「肌に新たなコラーゲンができるため、肌にハリが出て若返る」という説明がなされています。

確かに創傷治癒ではコラーゲンがたくさん作られ、壊れた皮膚の修復に使われますが、それで壊れた皮膚が元通りになるわけではないのです。その証拠に怪我をした皮膚には傷跡が一生残ります。元通りになるのなら消えるはずです。

実は、「修復された皮膚(=傷跡)」は真皮と同じ素材であるコラーゲンで修復されてはいるのですが、そのコラーゲンの並び方や向きなどが(さらにエラスチンの質も量も)全然違うのです。例えば綺麗な木目の木の板があって、それに穴があいてしまったため、おがくずと糊を混ぜてできたパテで穴を塞いだとします。おがくずは元はといえば木を削って得たものですので板と同じ素材ですが、当然、おがくずを詰めたところに綺麗な木目が戻ることはありません。同じ素材のものを詰めても見た目が元通りにならないのは、板とパテとでは微細な構造(木の繊維の向きなど)が異なるからです。

このように、創傷治癒では失われた肌のコラーゲン(木目のある板)を復元しているのではなく、代替品の修復コラーゲン(パテ)で穴埋めしているだけなのです。

もう一つ重要なことがあります。それは創傷治癒には決まった流れがあるということです。簡単に説明すると、皮膚に穴(傷)ができる→穴の部分に細胞が集まり分裂する→それらの細胞が小さいコラーゲンを一気に大量に作って穴を埋める→その後、細胞が小さいコラーゲンを分解し、時間をかけて大きいしっかりとしたコラーゲンに置き変えていく(ただし真皮の復元ではない)→修復された穴は傷跡として残る、という流れです。

そして、この傷跡の中には修復に関与した細胞が残っているのですが、時間とともにその数は減っていきます。これは役目を終えた細胞が自殺をしているためです。また、生き残っている細胞も増殖能力のない老化細胞になっています。傷を修復するというのは細胞にとって大仕事だということがおわかりいただけるでしょう。創傷治癒で細胞が若返るなど、とんでもない話です。

FGFやPRPの注入は実際に皮膚に穴をあけているわけではないので、どのくらいの細胞やコラーゲンが関係しているのか不明ですが、それらが注入された部位では今まで述べたのと同じ変化が起きていることは間違いないでしょう。FGFやPRPの効果がそれほど長く続かない理由は、このような細胞の過酷な運命と関連があるように思います。

一方、当院が行っている肌再生医療ではまず細胞が肌の中に定着することから始まります。FGFのようなものは一切使用しないため、肌の中で細胞が増えることはほとんどないでしょう。そして日常的な肌の伸展刺激によって肌に必要な分だけのコラーゲンが作られます。創傷治癒のように一気に大量のコラーゲンを作ることもありませんので「しこり」が生じるなどのトラブルもありません。

長かったので最後にまとめておきます。

FGFの注入もPRPの注入も創傷治癒(傷の修復反応)を利用した治療法です。創傷治癒とは怪我で失われた真皮コラーゲンを代替品の「修復コラーゲン」で置き換える作業であって、細胞が若返ったり真皮コラーゲンが復元するわけではありません。さらにFGFやPRPが作用した細胞には「過酷な運命」が待ち受けており、それらの細胞には肌の老化の根本原因を改善し回復するような働きはないのです。

というわけで皆さん、タイトルの「?」は削除でよろしいでしょうか(笑)?

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